報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

二十四章 権力けんりょく欺罔ぎもう

地涌オリジナル風ロゴ

第818号

発行日:1995年1月13日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

日顕が女性の件で久保川に弱みを握られているのを見抜き
山﨑は日顕に久保川を何としても押さえるよう進言している
 〈山﨑正友密書編(5)〉

前号に紹介したように「学会員対策について」として、「末寺僧侶の再教育」まで言及した山﨑だったが、その筆はとどまることがなく、その文は日顕がもっとも悩んでいる訴訟に及ぶ。

「(三)、訴訟について、

有能な弁護団を編成し、売られたケンカは買われた方がよいでしょう。

しかし、法廷では法廷の論理があり優先します。訴訟に引きまわされることはさけるべきですし、すべての紛争を訴訟の中にとじこめられることも回避すべきです」

日顕宗の現在の創価学会攻撃が、往々にして訴訟上の作戦に制約され、ブレーキがかけられていることを察しての山﨑の文であろう。日顕の感情的対応が、弁護士などによってたしなめられたこともあったのではあるまいか。

山﨑は、日顕と弁護団との間に年月が経るとともに生じたスキにクサビを打ち込み、自分が入り込む余地を得ようとしているのである。

「名誉毀損訴訟では、御法主上人は、法廷であることないこと、すべてを尋問の形でぶつけられることを予想され、準備なされるべきです。この種の訴訟に聖域は設定できません。隈部裁判で、私が裏工作に苦労したのもこのためでした。その点で、特に、久保川法章師に、何らかの手を打てるなら打つべきです。お若いころのスキャンダルの出所はすべてあの人です。私は、仮に証人申請されても、いかようにも証言できますが、私だけではすまないでしょうから。くどいようですが、写真のことだけではすまないはずです。私が学会の弁護士ならそのようにもって行きます」

山﨑は日顕の弱みを完全に見抜いている。山﨑は、日顕が好色坊主であるがゆえにさまざまなスキャンダルにまみれていると喝破しているのだ。

平成五年十二月二十五日、宗教法人日蓮正宗ならびに宗教法人大石寺は、創価学会の池田大作名誉会長および宗教法人創価学会を被告として、東京地方裁判所民事部に損害賠償と謝罪広告等を求める提訴をなした。

理由は、シアトルにおいて日顕が買春したことを報じた創価学会の機関紙が日顕の名誉を毀損したというものである。

近頃、明らかになったように、日顕は現実に、一九六三年、アメリカのシアトルにおいて買春をなし、そのとき売春婦とトラブルを起こし、警察の厄介になったことがアメリカ政府が保管する記録に残っていることが判明した。

したがって、平成五年十二月に起こされたこの民事訴訟は、日顕が買春した事実を隠蔽するのみならず、逆に、池田名誉会長および創価学会に冤罪を着せようと企んで起こした極めて悪らつな民事訴訟であったのだ。

この裁判は、大石寺ならびに日蓮正宗が原告となって起こしたものであるから、被告側である創価学会の同意がなければ裁判を途中でやめることはできない。

また、原告側の代表役員はいずれも日顕なのだから、日顕が法廷に出廷することを回避するのは不可能なことである。そのため、法廷において創価学会側の弁護士たちによって、日顕に対し徹底した尋問がおこなわれることは必至である。

日顕はみずから裁判を起こして、自縄自縛となってしまったのだ。天に唾するおろかな行為とはこのようなことをいう。

山﨑からこの密書をもらったとき、日顕はシアトルで買春した当事者であるのだから、その裁判において尋問されることに戦々兢々としていただろう。

この日顕が外に虚勢を張り、内心は脅えているのを見透かして、山﨑はズバリと本質に迫り、日顕のスキャンダルを知っている元・正信会議長の久保川法章を押さえろと言っているのだ。

山﨑に弱点を見透かされた日顕は哀れですらある。

「(四)、言論戦について、

質、量、方法ともに、学会に比べて数段おとります。情報面しかりです。真剣にとりくむ必要があります」

山﨑は、宗門側が創価学会の反抗を前にして致命的な敗北をこうむっていると現状認識し、その大きな原因の一つは情報にあると総括している。山﨑は、情報面の充実を説いているのだが、どうせ情報対策と称して日顕から大金をせしめようとしているのだろう。

そして、いつものことながら、自分が情報を独占し、自分の都合のいいように情報を加工し、操作情報を日顕に提供しようという魂胆である。

情報が金と権力を手に入れるのにもっとも有効な手段であることを、誰にも増して山﨑は承知しているのである。

日顕に宛てた山﨑の書簡

日顕に宛てた山﨑の書簡

二十四章 権力欺罔 終

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