報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

二十二章 魔軍まぐん覆滅ふくめつ

地涌オリジナル風ロゴ

第758号

発行日:1994年4月30日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

雨は降る雷は鳴るおまけに何の間違いか洪水の“中継”
ドタバタのうちに新六万塔の「開眼」をし日顕は冴えない顔

四月二十七日、二十八日にかけて「平成六年立宗会 新六万塔建立奉告法要」が大石寺においておこなわれた。

二十七日の「目通り」「全国教師指導会」については先号において報じたので、今号は二十七日夜七時過ぎからおこなわれた「法華講指導会」、二十八日午前九時「新六万塔除幕開眼法要」、九時二十分「立宗会」について記述する。

二十七日夜、大講堂と大客殿に分かれて法華講指導会がおこなわれた。参加した法華講員は約五千三百人。

まずは、法華講連合会の登山部長・須藤勝志が話をした。内容は、先号で報じた全国教師指導会と同じ。つづいて、法華講連合会委員長の柳沢喜惣次が「新六万塔建立」を名目にして二十一億円余を集めたことを誇らしげに話した。

柳沢としては日顕の提灯持ちをして、実質四千万円に過ぎない同塔の建設費に対し五十倍の金を集めたことを自慢したかったのだろう。これで、日顕夫婦が東京・世田谷区に購入した豪邸の金は賄えたことになる。

次に話をしたのは、庶務部長の早瀬義寛。この話も、全国教師指導会の話とほぼ同じなので省く。つづく総監・藤本日潤の話も同じ、略。

この法華講の指導会、久しぶりの慶祝ムードで会場の雰囲気は比較的明るかった。

法華講幹部は、「創価学会に実証をもって正義を示すんだ。明日、雨が降ったらなにを言われるかわからない。信心で雨だけは絶対降らせないゾ」などと意気軒昂。

二十八日午前二時三十分から丑寅勤行、いつも三十名くらいの参加者と一緒に間違い勤行ばかりしている日顕も、きょうは久方ぶりに大客殿が満杯になっての勤行なので、いつになく元気がいい。

参加者は丑寅勤行を終え、各坊に帰り就寝。

午前五時三十分、耳をつんざくものすごい雷鳴。坊に泊まった参加者のほとんどはビックリして目を覚ました。上半身を起こし、不安げにあたりを見渡す者もいた。だが、ものすごい雷鳴のわりには、雨が少し降り地面が濡れた程度。

朝の勤行終了後、講頭たちが法要参加者に配席図を説明しながら、整理券を配布。主会場は御影堂周辺。パイプ椅子約五千余が配されている。この説明の後、食事となったが、この頃から雨足が強くなってくる。法華講員たちの顔が曇る。

「信心で雨を降らさない」などと言っていた法華講幹部は暗い顔。

食後、正式に式場の変更が各坊に伝えられた。法華講員は御影堂周辺の屋外に設けられた式場には行かず、大客殿、大講堂に分かれて参加することになった。したがって、御影堂の周辺に配席された五千を超すパイプ椅子は無用のものとなった。

午前九時からの「新六万塔除幕開眼法要」に対し、すでに八時には法華講員は大客殿、大講堂に集められた。八時半頃から同時中継のためにテレビ画像のテストがはじまる。

画面に映し出された映像は、参加者の肝を冷やすものであった。

“大洪水”“土砂崩れ”の模様が、次から次に画面に映し出される。参加者一同あまりの凄まじさに息を飲む。しばらく見ていて気をとりなおした人が、思わず、「帰りは大丈夫かな」と不安げに話している。

テレビのニュースがいま起きている“大洪水”“土砂崩れ”の中継をしているとばかり思っている参加者は、ざわめきはじめた。

この間、十五分。ずっと災害の“実況中継”。と思いきや、「昭和61年の長野災害」のテロップが画面の下に。参加者の中から、「何をやってる」と、イラだって非難の声、轟々。

午前九時、「新六万塔除幕開眼法要」を祝して花火……ということだが、大講堂、大客殿に入れられた法華講員には外が見えないため雷鳴にしか聞こえず、不安感を助長させたのみ。会場は照明が消され薄暗い。

と、突然、テレビの画面に除幕された新六万塔が、いきなり映し出される。どうやら除幕の瞬間は、中継し損ねた様子。

方便品がはじまり、突如として日顕の顔がアップで登場。まったく冴えない顔。まるで、ふて腐れて勤行しているようだ。丑寅勤行のときの面影はない。

方便品の途中まで、日顕の顔と新六万塔が交互に映される。と、これまた突然、映像がプツンと切れ、薄暗い会場に途端に電気が灯った。

われに返った法華講員が勤行をしていないことに気づき、ザワザワと御本尊のほうに姿勢を変える。すべてがチグハグ。

九時十五分、法要終了。なんだか訳のわからないまま新六万塔は“開眼”されてしまったようだ。日顕はこの間、雨の降る中、新六万塔の前にしつらえられた特設テントで孤独な導師を勤めていた。

ひきつづき、御影堂で立宗会。再び画面に日顕の姿がアップで映る。献膳の儀をおこなっている。せわしく箸をご飯に立てたりしていた日顕は、おもむろにオカズらしきものを椀に移そうとした。ところが、オカズは箸からポロリと落ちてどこへやら。

あわてたカメラマンが、日顕のズームアップされた姿をどんどん小さく絞り込んでいく。日顕の姿は豆粒のようになり、それ以降は、この献膳の儀は遠景が映されるだけになった。

方便品、長行の後、日顕の建立奉告。勤行の終わった後、法華講連合会委員長・柳沢、総監・藤本、日顕らが挨拶。

すべてがメチャクチャの「法要」であり失笑を禁じ得なかったが、そのなかでも格別に笑えたのは、日顕が御影堂における挨拶の中で、「本日のこの雨は、水大・浄行菩薩様の汚れた濁悪の世を浄め、浄化したもう働きであると信ずるものであります」と、冴えない顔のままで強がりを言ったことであった。そう確信しているなら、もっと明るい顔をしてみたらどうだろう。

終了後、再び雷鳴にも似た花火の音。

ドタバタのうちに「法要」が終わり、雨の降りしきる中、参加者は肩を落として自坊に戻った。

午前十一時過ぎから雨足が弱まり、参加者が下山する昼頃にはすっかり雨は上がった。参加者はうらめしげに空を見上げ、嘆息しながら家路についた。お疲れサン。

二十二章 魔軍覆滅 終

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