報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

二十五章 物怪もっけ自縛じばく

地涌オリジナル風ロゴ

第881号

発行日:1995年9月27日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

大客殿の地震対策は三千万円でこと足りると報告されてた
日顕と八木はそれを隠し宗内を騙し新客殿建設を強行した

去る八月二十三日に大石寺でおこなわれた全国教師講習会において、大石寺主任理事・八木信瑩が、現在の大客殿を取り壊し新客殿をつくるという発表をおこなった。

現在の大客殿は、創価学会より大石寺に寄進され昭和三十九年に完成したもので、宗教建築物としては国内のみならず、海外でもひじょうに高い評価を受けてきた。八木は、この大客殿を取り壊すにあたり、地震対策上、万止むを得ないとの理由を挙げた。

八木は、つぎのように語った。

「当然、大客殿設計当時としては、旧基準に充分適合しており、なんら問題となることはなかったのですが、その後、各地に起きた地震の被害実例から研究が進み、耐震設計法が大幅に改正されている現在、そして予想される東海大地震に対する安全性を確保する上から大客殿の構造を分析すると、各所にわたり相当の補強が必要である、というのが専門家の見解であります」(『大日蓮』平成七年九月号)

八木は、大客殿建設工事をおこなった昭和三十年代の耐震基準では危いと強調し、「専門家」が「相当の補強が必要」と判定したと話したのである。

その後、八木は「相当の補強」の内容について触れ、

「これを行った場合、建築形態の外観的変化、美観上の著しい損失、使用上の不便その他、実施に当たっては複雑な修理要件の増加なども考えられます」(同)

と補強工事の否定要素を挙げた。さらに、

「こうしたことから、地震対策としてこれらの補強工事を施工した場合、報告書の総合的見解として『現実には使用上の不都合が極めて大きい』と述べているのであります。あちこちに壁や筋交い鉄骨を入れると、たしかに地震対策上、安全性は高まるが、実際には不便で、とても使いものになりませんよ、ということです」(同)

と、「専門家」のつくった「報告書」が大客殿解体を結論したかのように、八木は全国教師講習会で発表したのだ。八木の言うように、「専門家」がこのように結論しているならば、現在の大客殿を解体し新客殿を建てることは、たしかに取るべき方策のひとつであろう。

ところが、八木は大ウソを発表していた。

「専門家」は、そのような報告をしていなかったのである。「専門家」は最終的結論として、大客殿の四隅にある中空の柱のなかに高強度のコンクリートを注入すれば、大地震に充分耐え得ると判定していたのである。

八木は、

「この大規模な補強に要する費用も、かなりの額が予想されます」(同)

とも話していたが、「専門家」は柱の補強にかかる費用として「30,000,000円」を見積もっている。

「専門家」は、八木が自分たちの「報告書」の元意を歪めて発表したことに強い憤りをいだき、その事実を文書にしたため諸方面に公表した。その「専門家」とは、「大客殿設計者」である横山公男氏と「大客殿構造設計者耐震診断担当者」である青木繁氏である。なお、横山氏は、故・日達上人の娘婿にあたる。

その文書によれば、横山、青木両氏が大石寺に報告した三つの考えられる地震対策a案、b案、c案のうち、「7月12日」の大石寺との打ち合わせでは、b案は必要なく、a案、c案で充分と説明したという。

そして、全国教師講習会(八月二十三日)において、八木が両氏の五月三十一日付「報告書」を歪めて発表した後、すなわち、八月二十八日にはa案(四隅の柱に高強度のコンクリートを注入)のみで充分とし、c案(地中梁の補強)は不必要との最終的結論を大石寺側に報告したということである。

この文書の示すところは、実に重大である。八木が全国教師講習会で述べた、

「三階の大広間、二階の下足室の耐震性能を高めるため、筋交い入りの鉄骨枠や鉄筋コンクリートの壁を、建物の平面上x方向とy方向に新たに二ないし四面設ける必要もあります」(『大日蓮』平成七年九月号)

という地震対策は、横山、青木両氏の文書によれば、当初、考えられていた補強工事三案のうちのb案にあたり、これは七月十二日の大石寺との打ち合わせ時点で、すでに必要ないとされていたものだったのだ。

八木は、「専門家」によって、すでに不必要とされていた大広間(三階)、下足室(二階)内部に「二ないし四面」の壁を取りつけなければならないとするb案を公表し、「使用上の不便」を強調したのであった。八木は、聞く者をして大客殿取り壊しの結論に誘導するために「使用上の不便」をデッチ上げたのである。

だが、それにしても、a案(柱内部へ高強度コンクリート注入)、b案(内部に補強目的の壁)、c案(地中梁の補強)のいずれの工事をおこなっても、八木の言う、

「建築形態の概観的変化、美観上の著しい損失」(『大日蓮』平成七年九月号)

はありえない。

また、横山、青木両氏は、四隅の柱に高強度のコンクリートを注入するだけで地震対策は充分と最終結論しているのだから、八木が全国教師講習会で述べた、先に紹介したところの、

「報告書の総合的見解として『現実には使用上の不都合が極めて大きい』と述べているのであります。あちこちに壁や筋交い鉄骨を入れると、たしかに地震対策上、安全性は高まるが、実際には不便で、とても使いものになりませんよ、ということです」(同)

は、まったくの捏造であったということになる。

要は、大客殿は地震対策のために壊されるのではなく、日顕の自己顕示欲のために破壊されるのである。

日顕は、流れの庭、大化城、六壺同様、故・日達上人の事跡をことごとく抹殺しようとしているのだ。なぜ日顕は、日達上人をここまで恨むのか。かつて、宗門のある人は、

「日顕は日達上人から本当は相承を受けていない。本当に受けていれば、あそこまでのことはしない」

と指摘した。いまでは、この見方が宗内の常識となってきたようだ。

日蓮正宗重役であった早瀬日慈は生前、日顕について、

「私が我慢したから法主になれた」

と知人に話していた。

日達上人の事跡すべてを抹殺しようとする日顕の行状には、相承されなかったことによる恨みと、もう一つ、先師が相承もせずに逝ったことについての侮蔑すら見てとれるのである。

八月二十三日の全国教師講習会で、八木が大ウソを根拠に新客殿建設を発表し、九月一日付『大白法』に八木の発表を掲載し、九月十一日には大客殿から御本尊を遷座した。なにかが露見せぬうちに事を運ぼうとの魂胆が見え見えのあわてぶりである。

だが、やはり悪事は露見した。八木が大客殿破壊、新客殿建設の根拠とした「専門家」による「報告書の総合的見解」が真っ赤な偽りであったことが、「専門家」たる横山、青木両氏の文書により暴かれたのである。

八木はこのごろ、内事部で、

「横山のヤロー」

を連発している。

参考までに、横山、青木両氏の文書全文を758~759ページに紹介する。

家族友人葬のパイオニア報恩社