報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

十四章 仮面かめん剥落はくらく

地涌オリジナル風ロゴ

第479号

発行日:1992年8月20日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

段勲が正信会議長の渡辺広済に会い宗門との和解を勧め
「いますぐにこの電話を猊下につなげましょうか」と迫った

反創価学会の記事を書くことで生計を立てている段勲が、またも面妖な動きをしている。取材と称して正信会の有力僧侶を訪れ、日顕との和解を勧めたということだ。それがいま、正信会の中でもっぱらの話題となっている。

正信会の一部では、「段は阿部さんの意を受けて動いている」と見ている。その根拠としては、正信会議長の渡辺広済を訪ねたときに、「正信会側から謝罪した形をとって宗門側と話し合ってみてはどうか」と、しきりに勧めたという話が伝えられている。

これだけでは、段が個人的判断で宗門と正信会を連合させ、反創価学会シフトを形成しようとしているのではないかということになるが、話はそれだけで終わらない。

段は渡辺広済に対して、「いますぐこの電話を猊下につなげましょうか」と迫ったという。こうなると、段が単独で動いているということにはならない。

いくらなんでも、段がそこまでのことを勝手にできるはずがないということになる。段が日顕の密命を受けて動いているという、正信会側の分析も頷けるのである。

伝えられるところによれば、段が渡辺広済を訪れたのは、一~二カ月前ということだ。

ここで思い起こされることがある。平成二年十二月二十五日、段が総本山内事部で日顕と密談をしたことだ。このときのメンバーは、本応寺住職の高橋公純(段の兄)、押木二郎(藤原行正の子分)、笛木伸一(同)などであった。

この日は、日顕が池田名誉会長を総講頭罷免にした十二月二十七日の二日前。戦略的にきわめて重要なときに、高橋公純と段勲の兄弟、池田問題対策事務所事務局長を名乗っていた押木二郎などが、創価学会攻撃について打ち合わせをしたのである。

この密談以来、段がマスコミ界に棲息しながら反創価学会活動に精力を傾けていることは公知のこととなった。段はライターではなく、仕掛け人なのだ。

その段が、取材を口実に正信会議長に会い、宗門との和解を勧め、「いますぐこの電話を猊下につなげましょうか」とまで言ったという。

この話は、またたく間に正信会内部に広がった。いちおう、内緒話とはなっているが、この類いの話が広がるのは速い。それからの正信会は、百家争鳴の観がある。

日顕サイドも反応が知りたいところだろうから、一部を紹介しておく、

「帰った後からバッサリということが充分、考えられる。新しい教師に寺を与えるために、正信会の寺が必要なのではないか」

「阿部さんは、相変わらず節操がない。感情ですべて判断している。正信会は阿部さんが考えているよりも、もう少し気骨があるということだ」

「一人相撲で負け戦になっている阿部さんが、正信会を当て馬に使おうたって、そうはいかないよ」

「正信会を戻すポーズをとって、グータラな住職を引き締めようとしているんじゃないか」

「阿部さんのほうで謝るのが筋だ」

「相手が阿部さんでは信用できない」

段が動いたということで、正信会の中でさまざまな分析がされている。だが、全体的には反応は冷たい。なかには、「話し合いがつくまで、阿部さんが猊座にいる保証はどこにもない」と辛辣なことまで言う者もいる。

日顕が船長をする船は沈没しつつある。その船に乗らないかと言われても、それだけの蛮勇を持ち合わせている者は少ないだろう。

おそらく、段が日顕の密命を帯びて動いているという正信会側の分析は正しいだろう。段はこれまで、兄の本応寺住職・高橋公純の日蓮正宗内での立場を絶えず反映して動いてきた。

現在の高橋は、お仲居の駒井専道あたりと連繋を密にして動いている。もちろん、駒専のうしろには日顕がいる。ということは、段が日顕の手兵として、正信会の腹を探るために取材と称して動く可能性は大いに考えられる。

先日、高橋は「第二宗務院構想」を日顕に献策した。その具体的な動きとして、去る八月四日、妙縁寺に高橋ら二十名前後の者が集まった。

このグループは、まず反創価学会の本を出版することで実績を上げ、いずれは宗内での発言力を増そうと考えている。もともと、宗務院は無能であるという、きわめて強い意識を持っている者たちなので、いずれ宗務院役僧と深刻な対立をすることになるだろう。

段が正信会議長・渡辺広済と接触した裏には、高橋―駒専―日顕と連なるルートがあると見るべきだ。

このルートが、これまでも日顕宗の暴走のきっかけを絶えずつくりつづけてきた。いうならば、狂乱のルートである。正信会復帰の盲動を隠密裡に進めることは、充分、考えられる。

もし、段が日顕の密命を帯びて正信会との和解工作をおこなったとしたら、日顕の頭の狂い方は、いっそう進行したということになる。

自分の相承を否定している者たちの復帰工作を、日顕が節操もなくおこなったことになるのだ。これでは“法主”としての威厳もなにもあったものではない。

仮に、正信会復帰の動きを日顕がおこなったということになれば、かつて、日顕がおこなった正信会の擯斥処分は間違っていたことになる。

その道理も忘れ去り、日顕に忠義面した高橋・段兄弟が正信会復帰に暗躍しているとなれば、これまた実に面白いことである。忠義面して主君に唾しているというわけだ。

家族友人葬のパイオニア報恩社