報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

九章 破門はもん空言くうげん

地涌オリジナル風ロゴ

第312号

発行日:1991年11月8日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

戸田城聖会長が宗教法人を設立された深意が身にしみる
日顕がいかに策謀しても広宣流布の法城は微動だにしない

またも日顕一派が、同じ手口を使った。『読売新聞』(平成三年十一月七日付)の夕刊によれば、日顕は創価学会に対する「解散勧告」の通知を発送したようだ。

創価学会に対する処分を、創価学会側に通知する前にマスコミにリークし、創価学会員の動揺をはかろうとしている。日顕らの「毎自作是念」としてあるのは、創価学会を切り崩そうとの奸智、奸計だけである。

もし、創価学会に対して教導しようというのであれば、なぜ創価学会側と話し合わないのだろうか。仏教者として実に恥ずべき行為である。

昨年(平成二年)十二月二十七日、日蓮正宗宗会は日顕の指示に基づいて、規則変更にこと寄せて池田大作創価学会名誉会長を実質的に総講頭職より罷免にしたが、このとき、創価学会側がその事実を知り得たのは、マスコミ報道によってだった。

日顕ら日蓮正宗中枢は、「C作戦」によって動いている。「C作戦」の基本戦略の中には、マスコミの報道を利用して創価学会内に騒擾状況をつくり、創価学会員に不安を与え、創価学会組織を切り崩そうという考えがある。

「C作戦」すなわち「創価学会分離作戦」は、その「目的」として次のように記している。

「この計画作戦の目的とするところは、池田名誉会長を総講頭職から解任し、日蓮正宗は創価学会とは無縁の宗教団体であることを一般世間に公表し、創価学会組織の徹底壊滅を図り、もって純粋なる信仰に基づく金甌無欠の組織の再編成を目的とする」

日顕らは昨夏、この作戦計画を決定し、開創七百年の諸行事を終えた十二月に、池田名誉会長の発言に難くせをつけ、創価学会攻撃ひいては創価学会解体を正当化しようとした。日顕らにとって、創価学会側につける難くせはなんでもよかったのだ。

これは、徳川方が豊臣方をつぶす口実に、京都・方廣寺の釣鐘に刻まれた「国家安康」「君臣豊楽」の文字を問題にしたのと、よく似ている。つまり、徳川家康の「家康」の文字を切り離したのは、徳川家を滅ぼし豊臣家が栄えることを祈願したものだとケチをつけたのだ。

僧侶たちのために創価学会を分断し、そして、創価学会員を脱会させ支配する「C作戦」という奸計が、はじめにあったのである。

「池田名誉会長を総講頭職から解任し」たあと、「日蓮正宗は創価学会とは無縁の宗教団体であることを一般世間に公表し」の段階に、いま突入したわけである。要は創価学会を「徹底壊滅」し、檀徒組織を作ることを「目的」として掲げている「C作戦」のとおりに、ことは進められている。

その「C作戦」にのっとって、創価学会員に動揺を与えるために、マスコミを最大限に利用しようとしているのだ。

「C作戦」の「第三段階」には、「(2)日蓮正宗管長名により、宗内一般に対し、また創価学会に対し、『創価学会は日蓮正宗とは無関係・無縁の団体である』と宣言する。さらに、同日、宗務院において記者会見を開き、テレビ・ラジオを通して日本国民一般に対して宗門の立場の正当性を訴える」と明記されている。

宗門は創価学会員に直接、教化力を及ぼすことができないため、マスコミを利用し、創価学会を社会的に孤立化させ、創価学会員に揺さぶりをかけようとしているのだ。

だが、この時点において日顕一派がはっきり認識しなければならないのは、孤立するのは自分たちであるということだ。並はずれた欲望に充ちた生活を今後も続けたいというだけの理由で、第一線で懸命に布教活動を担ってきた創価学会員を平気で処分する。このような非道を、「民主の時代」が許すはずがない。

日顕らは、マスコミを利用して創価学会攻撃を企てているが、いずれは、そのマスコミによって、時代錯誤の権威主義と頽廃堕落した生活ぶりを問題にされるだろう。日顕らがマスコミを利用しようとしたことは、逆にみずからの身をマスコミにさらすことになる。

これまではなにをしようとも、上野村の坊さんたちの御乱行で済んだが、これからは「あの日蓮正宗の……」「あの日顕が……」というように大いに注目され、恰好の話題材料となるのである。

果たして、人間として極度に思い上がった日顕らの主張が、最終的にどのような社会的評価を受けることになるのだろうか。日蓮正宗中枢の高僧の誰がマスコミの洗礼に耐え得るというのか。日顕らがマスコミに袋叩きにされる日は近いと思われる。まさに「還著於本人」の現罰を示すことになろう。

それはともかく、日顕らは両刃の剣としてのマスコミに対して甘い幻想を抱き、意図的に情報をリークしている。「C作戦」に基づいて創価学会側に正式処分を伝える前に『読売新聞』に特ダネを与え、大きく扱わせようとした。

『読売新聞』(平成三年十一月七日付)の夕刊は、一面トップに「日蓮正宗 創価学会に絶縁宣言 信徒団体の解散勧告 きょうにも通知 宗門戦争ヤマ場に」との見出しをつけ、大々的に報道している(筆者注:地方によっては若干、見出しが違う)。

『読売新聞』の記事内容を見れば、事前に宗門側から詳細な説明がおこなわれたことが判明する。同記事は、リードの部分で次のように述べている。

「最大の信徒団体である創価学会(秋谷栄之助会長、公称八百万世帯)と対立している日蓮正宗総本山・大石寺(阿部日顕管長・静岡県富士宮市)は七日、信徒団体としてふさわしくないなどの理由から学会に対し解散勧告を行う方針を固め、同日中にも文書で通知する」

そして記事の冒頭に、

「宗門側が通知する解散勧告は、同宗の教義を信奉する信徒団体としての学会の解散を求めるもので、東京都が認可している宗教法人としての学会の解散を迫るものではない。また、勧告にあたって学会側に異義申し立ての機会を与えている。ただ、解散勧告そのものは処分ではないが、宗門として、はっきりと学会との決別の姿勢を示したわけで、学会側の大きな譲歩がない限り、最終的に池田名誉会長をはじめ学会員全員を事実上、同宗の信徒として認めない方向に進む可能性が大きいと見られている」

と記述している。日顕ら宗門中枢の、今後の創価学会攻撃のスケジュールも予測している。おそらくは記事をリークした日蓮正宗中枢の者が、宗門に屈服しない創価学会員への脅しの意を込めて、『読売新聞』記者に解説したのだろう。

ここで注意しなければならないのは、「解散勧告そのものは処分ではない」と述べていることである。明確な処分をすれば、創価学会側に法的に対抗され、謀略の張本人である日顕が裁判に引き出されることを恐れ、法的にまったく効力のない「解散勧告」を、まずおこなってきたのだ。

創価学会は昭和二十七年、第二代戸田城聖会長の時代に、日蓮正宗とは別に宗教法人を設立している。したがって、創価学会の存立は憲法上からも信教の自由、結社の自由によって厳然と保障されているのだから、創価学会に対する「解散勧告」など、犬の遠吠えにすぎない。いまさらながら、戸田城聖創価学会第二代会長の卓見に驚くばかりである。日顕が一番、恐れていることは、大衆の前に引き出されることだということを、創価学会員は見抜くべきだ。大衆の前に出るのを恐れているということは、日顕が大衆指導者でなく謀略家であることをなによりも物語っていると言っていい。

日顕ら日蓮正宗中枢は、口では創価学会が教義違背をしていると声高に言っているが、そのやり口を見れば、日顕らが自分たちの不正義を一番よく知っているとしか思えないのである。

池田名誉会長を総講頭より実質罷免するときは、宗規の変更にこと寄せておこなった。創価学会員を実質的な登山停止にするときには、添書登山などという奸計を用いた。創価学会員を登山停止処分にする教義上の理由などなにもないことを、誰よりも日顕本人が一番よく知っているのだ。

こう見てくるとわかるように、日顕は、かならず搦手から攻めてくる。正面から攻めて逆襲され、法廷闘争に持ち込まれるのを恐れている。所詮、日顕は「お山の大将」でしかない。正義もなければ人望もない、おまけに度胸も信心もない。ただ規則と恐怖で、宗門内をかろうじて押さえているにすぎない。

『読売新聞』に宗門幹部のコメントも載っていたが、その中に、「学会擁護の声は全体の二%にも満たない」との発言箇所がある。果たしてそうだろうか。

ある高僧は、「いま創価学会処分をするかどうかを宗内に問うて無記名で投票すれば、創価学会処分反対のほうが多いでしょう。皆、御前様に睨まれ、処分されるのを恐れているのです」と述べている。

日顕一派は、無記名投票で宗内の信を問うべきである。それができず、恐怖政治の結果の「二%」を誇示していれば、宗内の反日顕派の不満は増大するばかりだろう。日顕が、創価学会処分をアピールするのは、単に檀徒づくりのための揺さぶりにすぎない。万策が尽きて、それ以外に方法がなくなってしまったのだ。

『読売新聞』では解説として、「今回の勧告は、今後、最終的には宗規上の講中解散とほぼ同様の効力を持つ措置を行うためのものとみられる」としているが、最近の日蓮正宗内部情報は、この期に及んで、日顕は自分が法廷に引き出されることを極度に怖がっていることを伝えている。そのため、なんとか創価学会側から法的制裁を受けないですむ妙案探しにやっきとなっているのだ。

日顕らは一見攻めているようだが、状況の変化の中で選択の幅を狭められ、我慢できなくなって、やむをえず非常措置をとっているだけである。日顕らは攻めているのではなく、単にもがいているにすぎない。

日顕は、法的に拘束力のない「解散勧告」を出し、お茶を濁そうとしている。あとはまた、新聞広告などで呼びかけるなどの拙劣な計略をおこなうのだろう。そして、先に池田名誉会長を波木井実長に擬そうとしたが駄目だったので、今度は提婆達多の汚名を着せようとしている。

日顕は自分の臆病から迂回作戦を取ろうとしているが、そんなことで、日顕らにとって好都合な方向に状況が変化するだろうか。いや、なにも変わりはしない。結末のプランは誰にもないのである。

機関士も車掌も行き先を知らない。行き先不明の列車が出発する。確かなことは、機関士も車掌も妙にイラついていることだけだ。そして、機関助手数名が恐怖と怨念と瞋恚の思いにかられ、石炭をくべれるだけくべている。どこに暴走していくのだろうか。この列車から降ろしてもらった創価学会員は幸運だった。

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