報恩社公式サイト③「地涌」精選

地涌選集

筆者 / 不破 優 

編者 / 北林芳典

四章 邪智じゃち蠢動しゅんどう

地涌オリジナル風ロゴ

第142号

発行日:1991年5月22日
発行者:日蓮正宗自由通信同盟
創刊日:1991年1月1日

遠離塔寺の難を共に受けることのできた創価学会員は
末法の法華経の行者であるとの証明を仏より賜ったのだ

七月一日からの添書による登山を、創価学会側はどのような気持ちで見ているのだろうか。広布のために日夜、挺身する学会員はほとんど例外なく、いまの宗門のやり口に腹を立てている。

大御本尊様にお会いしたいという信仰の本質からほとばしり出る気持ちにつけ込んで、広宣流布を進める学会組織を分裂させようという策……。この添書登山の奥に潜む怜悧な魔性には心の奥底から反発を示している。

大衆は事の本質を見逃さない。添書登山の目的が、この未曾有の和合僧団の破壊に向けられていることに気づいている。聖職にある者が、策を弄して広宣流布の歩みを止めようと仏子をいじめぬいているのだ。まことにいまの宗門中枢は僣聖増上慢の姿そのものである。

創価学会員が、この事の本質を見抜いているのだから、七月一日よりの登山が不調に終始することは目に見えている。まして池田名誉会長に対しては、いまや実質的に登山止めの状態である。早瀬庶務部長が住職をする大願寺が、名誉会長に添書を書くことなど、よもやあるまい。

添書を求めれば、これまでの恩も忘れ、権威をカサに着てなにを言い出すかわかったものではない。屈辱を強い、僧の権威の前に屈服させようとするだろう。もちろんそれ以前に、池田名誉会長から添書を求めることなどないと思われる。

創価学会員も、池田名誉会長がこのように実質的に登山止めの状況の中では、好んで登山することはないだろう。

昭和二十七年の狸祭り事件のとき、日蓮正宗の宗会は戸田会長の登山止めを要求する決議をしたが、そのとき戸田会長みずから筆をとり、『聖教新聞』(昭和二十七年七月十日付)の「寸鉄」に次のように書いている。

「一、宗会の決議では我等の会長が登山止めなそうな、物騒な世の中になつたものだ。

二、忠義を尽して謗法を責めて御褒美あるかと思つたに、おほめはなくて『登山まかりならん』とおしかりさ。弟子共一同『俺達も一緒に登らんわい、フン』だってさ。

三、何が『フン』だい。決つてるじやないか、日本全国の信者の声だつてさ、嘘もよい加減にしろ、折伏も出来ず、御衣の権威で偉ばること許りを知つとる坊主の学会に対するやきもちだからさ」

簡潔に事の本質が記されている。そしてこの難の仏教的な意義について、つづけて「寸鉄」に次のように書いている。

「如説修行抄に仰せあり

『真実の法華経の如説修行の行者の弟子檀那とならんには三種の強敵決定せり。されば此の経を聴聞し始めん日より思い定むべし』。三種の悪人の仕業の中に『遠離塔寺』と言つて寺から追い出すやり方がある、悪人共がさ。

さて我等が会長に折伏の大将としての一大名誉を贈ったのさ『遠離塔寺』と云う仏様からの勲章なんだ」

「遠離塔寺」は、末法の法華経の行者が受ける難の一つとして、法華経勧持品において明かされている。

勧持品では「濁世の悪比丘は仏の方便 随宜所説の法を知らずして 悪口して顰蹙し(持経者は)数数擯出せられ 塔寺を遠離せん 是の如き等の衆悪をも 仏の告敕を念うが故に 皆当に是の事を忍ぶべし」とつづいている。

戸田会長が記しているように、「遠離塔寺」の難を受けることのできた創価学会員は、末法の法華経の行者であるとの証明を御本仏より賜ったに等しい。

それにしてもこの「遠離塔寺」の策は、ある程度、信仰心がある者たちに対してでないと効果は期待できない。斬ったり流罪したりといった暴力に訴えるものでもない。いうなれば、信仰心を利用しての破仏法であり、きわめて知能犯的要素が強い策なのである。

第六天の魔王も、あの手この手と実に手のこんだことをしてくるものだ。信仰をしている大衆に、なにが正でなにが邪かを見失わせ、最終的には広宣流布を推進する仏の軍勢を空中分解させようとの謀略である。

本来、広宣流布に向けて日夜精進しなければならない日蓮正宗の僧が、この謀略に手を染めているのだ。日顕上人らは、「池田教がいくら弘まったところで、それは広宣流布ではない」などともっともらしいことを言っている。だが、池田名誉会長ほど日蓮大聖人の仏法を真剣に行じている人もいなければ、仏法により大衆を蘇生させた人もいない。

日顕上人はなんの謂あって池田名誉会長をそしるのか。ただ単に妬みである。

七月一日以降、総本山は閑散とすることだろう。これをもって日顕上人らは、「やはり創価学会員は信心がなかった。大御本尊様より池田名誉会長が大事らしい」などと誹謗するにちがいない。だが、僣聖増上慢の口車に乗って、仏法史上、未曾有の和合僧団の結束を乱すことなどできはしない。

正絹の豪華な僧衣をまとい、大衆と交わることもなく、高級車に乗り、ゴルフ場とクラブ通いにうつつを抜かし、夫人には高価な着物を着せ、庶民からは考えられないような贅沢をする。そのうえ、多くの者にかしづかれたがり、甍周りを圧するような寺院を、銀行から借金をしてまで建てたがる。

このような僧がなにをそしろうとも、不思議な仏縁で結束する創価学会の師弟のあいだにヒビを入れることなどできはしない。

家族友人葬のパイオニア報恩社